一万円札が聖徳太子だった時代の色気

モントリオール出張の折、シカゴまでの飛行機の中でめぐりあってしまったのが、伝説のTV番組「探偵物語」。

あの♪Bad City, bad bad city…という軽快なオープニングと共にハードボイルドなのかコメディなのか、いかにも昭和の香りのする、欲望渦巻く泥臭〜い人間模様が繰り広げられるのですが、主演の松田優作の決して陳腐なところに落ち着かない演戯が光る作品ですね。しょっちゅう警察に誤認逮捕されたり、依頼人に無理なお願いをされたり、弁護士役の倍賞美津子との掛け合いがあるのですが、ここは押すのか?と思ったら引いたり、おとなしくするのか、と思ったらくってかかったりと、いい意味でこちらの予想を裏切ってくれるので、目が離せません。彼のオリジナリティは決して古びないなぁと感心した次第。その松田演じる工藤探偵は街をゆけば、たちまち知人女性たちに囲まれ、めちゃめちゃモテているわけです。すぐにchu!とかしていて、この気の許し方、他者との距離の近さは羨ましく、私もちょっと軟派に転身してみようかと思いました。(無理無理〜笑。)優作のスリムでひょろりと長い手足もセクシーですが、ついつい目が女性にいきがちな私としては、あの時代の少し野暮ったさも感じる「女性らしさ」にクラクラっときてしまうのです。「外人」への憧れや肉感的なボディの誘惑。かと思えば和風しとやか美女がゲストの回もあり。その「女性らしさ」は手間のかかる演出であり、わざわざ演じたいと思う女性が減ったからこそ、現在は廃れてしまったはずなのに、なぜか今、振り返ってみると魅力的なのです。なんだか華があるなぁと思う年上女性(50歳以上)は、あの時代、それが世間的に歓迎される作られた女性のイメージであるとも自覚せずに、めいいっぱい女性らしさを表現していた、その名残があるのかもしれません。
とりあえず、今度誰かに何かちょうだいと手を出されたら、「私、手相は見ないのよ。」っていうことにします。(優作の真似。)