覚悟を持って生きる、ということ

珍しいところに行ってきました。中曽根康弘氏の旧別荘「日の出山荘」です。

レーガン大統領とのマル秘対談が行われたという古民家。特に調度品がすごい!というようなこともなく、まっすぐに伸びる目の前の杉林が目と心を癒してくれる片田舎に、いくら日本の伝統的な茅葺き民家カフェが流行っていたとしても、現代っ子だったら絶対に行かないに違いない…(オバマ大統領は行かないですよ、おそらく。)と、確信いたしました。

中曽根元首相には群馬県出身の政治家として、両親の話題に上ることも多かったため、親しみはあります。しかし、いくら高い理想の実現を目指しても、正義感だけではダメで、清濁併せ呑む覚悟と力量が必要なんだろうな、と壁一面の記念写真での総理のきりっとした表情を見ながら考えていました。
自分にとってそれは何か。それを決めた後の責任が恐ろしくて、「自分探し」や「自分磨き」の名目のもと、やたらめったらいろんなことに手を出し、ひとまず努力をしていることに満足して、気を紛らわせていたような気がするのです。でもきっと、これからより深い人生へと一歩踏み込むために、必要なのは新しいスキルではなく、覚悟だけなのです。

中曽根氏の上記の言葉には同意で、私も自分が生涯をかけて完成させる芸術作品は「自分自身」と思って修養に努めてまいりましたが、どうも近年グダグダになりかけていました。なんだか今日は妙に反省に満ちた時間を過ごしたのでした。


次は町田の旧白州邸である「武相荘」です。美術鑑賞サークルの人と春になったら行こう、と約束していたのにお先にすみません。

白州次郎は日本人に見えないほどのダンディーさでかっこよすぎます。どうも同じ留学経験のある正子さんとは時々英語で話していたのではないかと推測されます。次郎が作った木製のケースには、

Hope she will be more tidy!

と書かれておりました。次郎はやたら「プリンシプル」にこだわったとされますが、他者から押しつけられた価値観ではなく、自分で選んだ「プリンシプル」を生きることに意味があります。受験社会に慣れてしまうと、自分の外側に絶対的に正しい答えがあるような世界観が構築されがちですが、現実には誰にも共通の正答などはないということを肝に銘じ、勇気を持って自分の考えを実行するより他はありません。かっこよく生きようぜ!


最後は何かと話題の鳩山首相に関連して、文京区の鳩山会館


ステンドグラスの素敵な洋館でした。

鳩山家の家紋「尻合わせ三つ結び雁金」がとってもキュートです。バラの時期にお庭を散策するのもよいかもしれません。

単に自分の見たことのない場所に行ってみたい、という従来ながらの「ひたすら経験を増やす旅」ではありましたが、意外な収穫があったのでした。